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第百三十七話 映画「ラーメン侍」

 このコラムが映画になります。実は4年前、このコラムの「初代熱風録」というシリーズ(バックナンバーtaiho.net)が、映画「卒業写真」の撮影で来久していた瀬木監督の目にとまり、「これは面白い。映画になる」という話が持ち上がりました。以来、4年の構想期間を経て、今年ついに実現する運びとなったのです。内容は昭和40年代、町中が元気に溢れていた時代、久留米の1軒のラーメン屋台の店主とその家族が織りなす人情喜劇というもので、主人公は僕の父がモデル(当然人名と屋号は架空)です。主演は渡辺謙さんの息子・渡辺大君、ヒロインは福岡出身の山口紗弥加ちゃん、脇を津川雅彦さんや淡路恵子さんという大御所たちで固めるという豪華キャストになっております。
 クランクインは去る3月1日、クランクアップが同月21日という超タイトなスケジュールの中で、久留米およびその周辺でのオールロケという過酷な撮影でした。また、撮影半ばで起きた東日本大震災は、現場に深い衝撃を与えました。「こんなときに映画なんか撮ってもいいのか?」と、自問するなか、被災地・福島に住む監督の知人から「撮影頑張ってくださいという」メールに力づけられ、「こんな時期に撮影した映画だからこそ、観る人を元気にする映画にしたい」監督のそんな思いで撮影は粛々と進み、ついに撮影のクライマックスというべき、菜の花の咲く筑後川河川敷で主人公が自分の屋台を燃やすシーンをもって、無事クランクアップとなりました。
 伊丹十三監督の「タンポポ」以来20数年ぶりの本格ラーメンムービーとされるこの映画、最大の特徴は、全国の本物の有名ラーメン店主たちが、随所にエキストラで登場するというところです。まさに映画界、ラーメン業界初の快挙といってもいいでしょう。公開は今年の10月下旬、九州全県の東映系(Tジョイその他)を皮切りに、全国、そして韓国、台湾での公開を予定しております。
 12年前にラーメンによる町おこしとして久留米で開催した「ラーメンフェスタ」。これは全国で初めてのラーメンイベントでした。そして今年、その究極型ともいうべき「ラーメン映画」が久留米から全国へ、そしてアジアへと発信されます。・・・感無量です。

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