ラーメン今昔物語・「目覚めよラーメン屋」
香月 均
「久留米のラーメン屋よ、今こそ故郷復興の原動力となれ」また「その受け皿として“久留米・ラーメン ルネッサンス”という 町おこしの組織も生まれた」そんなことを前回書かせていただきました。実際この動きは、各マスコミの報道によって
全国的にも注目され始めています。
しかし、肝心要の久留米のラーメン業界の意識はどうなのでしょうか、若干の不安があります。 僕は生まれた時から久留米のラーメン屋で育ちましたので、ラーメン屋のオヤジさんたちの体質がよくわかります。例外もありますが、まず、
・業界内の連帯意識がない。
・他店への敵対意識だけは強い。
・「うまけりゃ良い」それ以外は頭にない。
・自分のラーメンが一番と思いこんでいるから、何か言われりゃスグ怒る。
・そのくせ研究心がない。
・流行にうとい。
・人の話を聞かない。
・演歌が好き。
・・・ざっとまあこんなもんです。
以降はさておいて、とにかく、これは久留米のラーメン業界内では根深いようです。重大な問題です。もうすでにラーメンまちおこしは動き始めました。やがて久留米中のラーメン屋さんに様々な協力(金銭要求はありません)の依頼が来るでしょう。
そこでラーメン屋さんたちにお願いです。どうぞ気持ちよく協力してやって下さい。 どうか「そげなことして儲かるとや」とか「あの店が入っとるならウチはやめとく」などとは言わないでほしいし、
思わないでほしい。「自分だけ」の時代は終わりました。これからは「輪(ネットワーク)」と「和(調和)」の時代です。いま久留米は不況にあえいでいます。そこでラーメン屋のオヤジさんたちに「町の救世主たれ」とまでは言いません。せめて「町に恩返し」というスタンスで協力してほしいものです。
イキナリですが、黒澤映画「七人の侍」のあるシーンの話・・・ 戦国時代、ある村の村人たちは、野武士たちの襲撃から村を守るため、村で雇った七人の侍たちの指導のもと、日々厳しい戦闘訓練を繰り返していました。
そんなある日、集落から離れた家に住む三人の村人が「自分の家は自分で守る」と訓練を拒否したのです。 そのときの侍頭“勘兵衛”のセリフ、(抜刀しながら逃げ回る三人を追いつめ)「村を取られて離れの生きる道はない。」そして「人を守ってこそ自分を守れる。己のことばかり考える奴は己をも滅ぼす奴だ。」
グッときましたこのセリフ。この一言で離れの三人が目覚めたのは言うまでもありません。
いま久留米の町をこの映画の“村”にたとえるなら、押し寄せる“野武士”は「不況」かもしれません。 そこで「ラーメン業界」が“離れの三人”になってもらいたくはないのです。やがて久留米が元気になったとき、その結果として、ラーメン業界全体の意識も技術もレベルアップしているはずです。そして「久留米商人の歩いたあとは草も生えん」とは誰も言わなくなっていることでしょう。
−次号 乞うご期待−
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