4.「呼び戻しスープ」と「取りきりスープ」 |
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そしてもう1つのチャートが豚骨のチャートです。やはり九州独特のアノ豚骨スープは独自のチャートにしました。 このチャートの定義は、スープ素材の70%以上を豚骨が占めている白湯スープであることとし、縦軸は、あくまで白湯の濃度のみとしました。 横軸もこのチャート独自のもので、「呼び戻しスープ」と「取りきりスープ」というスープ調理の“技法”を設定しました。 「呼び戻し」とは、その店には開店当初から数十年、営業終了後も絶対空にしないというスープ釜があり、毎日その釜の古いスープに、別の釜でとった新しいスープを少しずつ継ぎ足しながら作るという技法です。 かたや「取りきり」とは、釜(ほとんどは寸胴鍋)に、決められた量の水と豚骨その他の素材を入れ、決められた火力で決められた時間、だだひたすら煮込むだけという技法です。 現在博多や熊本の豚骨ラーメンは、ほとんどこの技法で、厳密には清湯スープも基本は“取りきり”と言えます。 ちなみに、かつての久留米ラーメンは「呼び戻し」主流でした。しかし、この極めて高い職人的な技術を要するこの技法は、若手への技術の継承や店舗チェーン化の難しさのためか、時代と共に姿を消そうとしていました。しかし最近、一部のラーメンフリークの間でこの“呼び戻し”が話題となっており、この技術を持ったいくつかのラーメン店も含めて、その技術を保存し次代へ継承しようという動きも出てきたようです。 |
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